「新館」完成

更生保護法人興楽会の新建物(以下「新館」という。)は、令和2年5月27日、その「保存登記」が完了し、社会的に誕生しました。そこに至るまでには様々な出来事がありました。そこで、そのことを簡潔に紹介いたします。

1.「小舟」のように

 「50年に1度」という全体改築は、「基本計画」→「基本設計」→「実施設計(入札用配付資料)」という順序で大海原に漕ぎ出す予定でした。
  しかし、出航直後の「基本計画」で、大波を受け、「小舟」のように揺れに揺れました。すなわち、「基本計画」には、次のような各種の難題が山積し、 これらの解決に、どの難題を優先的に解決するかが問題になりました。

  • 改築工事に対する地元住民の理解獲得(板橋区長、町内会等への説明)
  • 新館の建設場所(騒音対策、日照権対策等)
  • 工事期間中の業務継続の可否(職員に対する休職要請の問題)
  • 建設工事開始時期(助成金等交付決定の時期)
  • 建設費用(自己資金の確保等)
  • 近隣の設計会社・建設会社の選定(競争入札・随意契約) 等々

 これらの難題解決のため、三者会議(保護局・東京保護観察所・当会)、理事会、評議員会、所内全体会議等がそれぞれ複数回開催され、 最終的には、当時の東京保護観察所長の御指導に基づき、新館の設置場所が確定し、このことにより、一人の休職者も出すことなく、 業務継続のまま建設工事に着工することができました。

2.当会にとっての「地上の星」

 平成31年度(同年5月からは令和元年度)に入り、いわゆる「振興財団の助成金」交付決定、また、いわゆる「JKAの補助金」交付決定が、 それぞれ通知され、「自己資金専用通帳」も作成して、いよいよ「入札」→「地鎮祭」→「工事着工」へと新たな航海(第2ステージ)に漕ぎ出しました。
  この航海では、上記「振興財団」・「JKA」の助成・補助のほか、地元の会社の「株式会社 T建築設計事務所」・「T建設株式会社」の御努力により、 令和2年3月10日の工事完了・引渡日まで順調に進行していきました。
  建設「工事」に関しては、以上のとおりでありますが、この間、建設関連の当会の「業務」としては、 「入札報告」・「請負業者決定報告」・「着工報告」・「計画変更承認申請」・「概算払(中間払)申請」・「精算払申請」・「完了報告」等々がありました。
  ところで、更生保護事業の業務を継続しながら、これらの建設関連「業務」を何とか処理できたのは、 すべて「更生保護法人川崎自立会のH施設長」の「暖かき御指導」の賜物であり、心から感謝を申し上げます。
  ここで記載した「暖かき御指導」とは、具体的には、

  • 「総論」ではなく「各論」による指導
  • 「理念」ではなく「具体的記載例」に基づく指導
  • 「失敗例」を提示しての「留意事項」に関する指摘  等々

でありました。今後、当会が全体改築予定の施設に何か助言等を行う際に、心得ておくべき事項として列挙してみました。
  以上の方々以外にも、多くの人たちから、当会の「新館」誕生に援助等をいただきました。ここに、紙面を借りて御礼を申し上げます。
  ちなみに、当会では、これらすべての方々は、当会の「新館」誕生に寄与していただいた「輝く地上の星」と思っています。

3.最後に

 被保護者が「単独室のない旧館」から「単独室のみの新館」に引っ越した翌日、政府は、 新型コロナウィルスの感染拡大防止のための非常事態宣言を行いました。 この「引越し」は、関係法令に基づく所定の手続後の「引越し」ではありませんでしたが、 感染防止対策の一環として行われた「緊急避難的な引越し」として御理解いただければ幸甚です。
  さて、「新しい皮袋」は出来上がりました。この皮袋に「新しい酒=新しい更生保護の風」を注ぐのは、当会のこれからの「使命」だと思います。 気合を入れて取り組みます。

(文責=K.Y)

実施経過

(1) 事務手続関係

2019年 4月 1日交付決定通知書受理(4月1日付)
5月28日交付誓約書・振込依頼届提出
9月 2日請負業者の決定に関する報告書提出
10月28日計画の変更に関する承認申請書提出
11月30日計画の変更に関する承認通知書受理(11月29日付)
2020年 4月20日精算払申請書提出
5月20日補助金受領(88,668,000円)

(2) 事業関係

2019年 4月23日玉田建築設計事務所と設計監理契約締結
(12,815,000円・税込)
6月21日入札参加通知送付
7月16日入札実施
7月31日株式会社シェイ・イー・サポートに建築確認申請書提出
8月 5日丹勢建設株式会社と工事契約締結
(293,700,000円・税込)
8月26日建築確認済証受理
9月 5日工事着工
2020年 2月29日建築工事完了
3月10日工事完了引渡・法務局あて建築工事完了引渡証明書提出
3月24日建物の表題登記
3月26日玉田建築設計事務所に設計監理料金残額の最終振込
4月 5日新建物に引越し
4月20日建設料金残額の補助請求
5月21日丹勢建設株式会社に建設料金残額最終振込
5月25日定款変更認可申請
5月27日新建物の所有権保存登記
6月15日認可事項変更申請
6月22日定款及び認可事項の変更認可通知

支払明細

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